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「人のセックスを笑うな」レビュー/タイトルで妙な期待をするな
2008年 07月 01日 (火) 23:04 | 編集
人のセックスを笑うな

人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ


さいきん本が読みたいけどあんまりお金がない。文庫とはいえ安くはないのだ。
なので
妹の本棚(ちょっと前に活字中毒の波がきてたのでいっぱい新しい文庫がある)を
かってにあさって、お気に入りのブックカバーをかけ、通勤途中に読む。
まだ何冊かすきそうなやつがあったから、しばらくはこれでしのごう。うひひひ。



作者の名前もタイトルもすんごいインパクトで、映画化もされたから名前だけ知ってた。

そもそもあんまり長くなくて、文庫本1冊とはいえ行間はすかすかしてて
ものすごく読みやすい文章でどんどんテンポよく読めるので
その後に収録されているもう一編もあわせて、通勤1往復で読み終わりました。

19歳と39歳の恋、そしてこのタイトル・・・いろんな想像をするかもしれませんが
ドラマチックで肉体的で濃厚なラブストーリーでは全然ないです。
江國香織「東京タワー」あたりを想像したら外れるのでやめましょう。
結論から言うとすごく好きです。
読みやすいのは単に平易というわけではなくて独特のセンスなんだと思う。
感覚的な表現が個人的にはかなり好きだった。
やさしくやわらかいものを軽やかにすくいあげて、さっぱりと描いている。


魅力的な登場人物はなんだかとても親しげに感じられる。

主人公は「磯貝みるめ」という超かわった名前。
私は昔バイトしてたいけす料理屋で「みる貝」って貝を知ってたせいか
この名前と音の響きから受ける印象はものすごく貝っぽい。
攻撃性はないけど耐える力はあって、中身は柔らかい。味は淡白。
感受性が強くて感覚的だけど女々しいわけではない。

39歳の美術教師ユリちゃんは、奔放で自分本位。
既婚で大人で余裕があって、なのに
ベッドの中で指をキツネの形にして年下の男の子をからかうような可愛らしさがあり、
そこが彼女の言い知れない魅力だと思う。


終盤に

もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやってほしい。

という一文があり、
これが「人のセックスを笑うな」という表題に対応しているのだととれる。
でも、映画化の際に英語でつけられたサブタイトルが
"Don't laugh at my romance."
であることからもわかるように、
表題はそのへんの行為そのものは指していない。

多分それは、恋人どうし特有の関係を指している。

みるめとユリちゃんの、ユリちゃんと猪熊さんの風変わりで特殊な関係。
でも恋人どうしの関係は、本来、皆それぞれに特殊であるはずだ。
2人の間に流れる、ものすごく個人的で排他的で
他人が覗き込んだとしてもさっぱり理解できない濃密な時間。
だけど当人たちにとっては理屈じゃ言えないけれどとても素晴らしいもの。

だから
「笑うな」は、ふられてしまったけどどうしてもユリちゃんが忘れられない主人公の
「自分はこの終わった恋とまだまだ向き合っていたいけれど別にいいでしょう」
という気持ちの表現かな、と思った。

いやーだいたい「笑うな」って言われても、
普通人の行為を指差して笑う機会なんてまずあるわけないし。
例の一文で「笑うな」って言ってる相手は神様であって読み手の私たちではないし。
結局このセンセーショナルなタイトルは、
「エロいと見せかけてテーマは全然そんなことない小説です」
ということを逆説的に示している気もします。


映画もちょっと観てみたいなと思いました。
松山ケンイチと永作博美が演じるこの2人は、想像するだけでもうかなりイイ気がする。


前述の「東京タワー」は深夜に映画やってたのを観たことがあるけど
岡田准一と黒木瞳の年の差の純愛は、なんかついてけなかったなー。
特筆すべきは、同じように年下の男に入れあげる主婦役で圧巻の演技を見せた

寺島しのぶ!

「アキハバラ@ DEEP」でも思ったけど、彼女はたたずまいがエロい!すてき!!


だっせんした。
「人のセックスを笑うな」は個人的にはおすすめです。おわり。


今日の記事に登場した言葉や表現の一部は、春雨庵コード的にギリギリでした。笑
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